今回は映画『パニッシャー』を紹介します。
マーベル原作作品の中でも異色のダークヒーローで内容も暗く、マイナーな作品ではありますが、何度もリメイクされる不思議な魅力を持った原作。
トラボルタも出てるし、隠れすぎた名作かも?ということでチェックしてみます。
本記事は作品のネタバレになるような内容を含む解説・考察記事です。
作品を未鑑賞の方はお気をつけください。
映画の情報
監督
ジョナサン・ヘンズリー
脚本
ジョナサン・ヘンズリー、マイケル・フランス
出演
トーマス・ジェーン、ジョン・トラヴォルタ、ウィル・パットン
原題
The Punisher
2004年制作/124分/アメリカ
あらすじ
裏社会を支配するハワード・セイント(ジョン・トラボルタ)は、最愛の息子ボビーが密輸取引の現場でFBIのおとり捜査に引っかかり、射殺されたことを知る。
激昂したセイントは裏切り者を捜しだし、潜入捜査をしていたFBIのフランク・キャッスル(トーマス・ジェーン)を見つけ出す。
家族を守るために危険な仕事を辞める事を決め、プエルトリコで家族とつかの間の休暇を楽しんでいたキャッスルだが、そこへセイントの追手が現れ、妻子を惨殺されてしまう。キャッスルは立ち向ったものの、敵に胸を撃たれ海に放り投げられる。なんとか海岸に命からがら流れ着き、生き延びる。
プエルトリコの惨劇から五ヶ月後、息子から最後に貰ったドクロマークのプリントされたTシャツを着た彼の、闇の私刑執行人パニッシャーとしての”制裁”が始まる。
感想・解説
本作品は過去に3回もリメイクされてるうちの2作目。2004年作品。
最近では2017年にNetflixで2シーズンに渡りドラマ化されるなど、なかなかリメイク率の高い作品です。
マーベル作品の中では珍しく、特殊能力を持たない普通の人間が肉体と知恵を使って戦います。アベンジャーズでいえばブラック・ウィドウやホーク・アイのようなヒーローですね。
主演はほとんど知らない俳優さん。調べたら映画『ミスト』の主人公としてあまりにも有名な人でした。思えば『ミスト』もこの作品も家族全員死亡、となかなか珍しいキャスティング運の持ち主です。
パニッシャーの戦い方
プエルトリコでの妻子惨殺から5ヶ月がたち、敵のセイントは主人公キャッスルは死んだものと思っていたため、キャッスルは自分の墓を壊し、墓石の上の部分をセイントの行きつけのゴルフクラブのグリーンの上に置いて自分はまだ生きてると知らせ恐怖を与えたわけですが。。。
一見クールなやり方に見えますが、この下準備を想像すると少しおかしくなってきます。墓を運ぶのも、そもそも墓を切るのもめちゃくちゃ大変だったろうな。と。
そのぐらい彼は普通の人。丁寧な準備が仕事の肝です。制裁の為恐怖と混乱を与えるのがパニッシャーの役目らしくただ殺すだけではなくサプライズ的な手法を選んでいました。
突っ込みどころは多いかも
セイントの最愛の妻が映画鑑賞中に彼女の車をホテルに移動し駐禁の切符をゲットしておいて、自動車電話で組織のナンバー2に発信、妻のダイヤピアスをナンバー2のいない間にベッドに放置して。。。二人の不倫をセイントに疑わせて。。。と、かなり卑怯な、どこがヒーローやねんと言ってしまいそうなぐらいの涙ぐましい努力をしていましたね。
いくら制裁といえ、組織ナンバー2のゲイ写真をネタにしたアウティングは本当に毛嫌いする人もいると思います。
沢山の車が並んだ駐車場で大爆発を起こし、上から見たら爆発炎上した車の並びで巨大なドクロマークが出来ていたシーンもありました。最初に車の下に爆弾を取りつけるシーンがあったのですが、とにかく準備設計が大変だったろうなと静かに突っ込みましたね。
ラスト、ジョン・トラボルタ演じるセイントに火がついたときにも、耐火ジェルが丸見えだったのには笑いました。いつの間にそんな仕込みを?と。
バーナーでの拷問シーンとギター弾きの殺し屋
ボスの手下を見方に引き入れるために拉致し拷問をするシーンがあったのですが、逆さに吊るした相手の背後に回り、背中にアイスを押し付ける、と同時にバーナーで傍らの生肉を焼き、臭いを充満させて。
相手は自分の背中が焼かれてると勘違いしボスの情報の全てを話す。と、このシーンはキャッスルらしからぬ優しい拷問のギャップに癒される人も少なくないと思います。
謎のギター弾きの暗殺者が不自然に出てくるのですが、なかなかのオーラのある貫禄とは裏腹にすぐ死にます。この役者さん、監督の知人のミュージシャンとの事で何か癒着を感じました。午後ロード版では丸々カットされてたらしいです。編集者もさすがにいらんと思ったんですかね。
被害にあった人
パニッシャーになってからのキャッスルの隠れ家のアパートでは、おかしな住人との交流も描かれていました。太っちょ男とガリガリの顔中ピアス君、セクシーな女、この三人がかなりいい奴らでした。
三人がサプライズで夕食のパーティーを開いてくれたり、部屋にボスの手下がやって着た時に太っちょとガリガリ君がキャッスルをうまく隠してくれたり、その時変わりにガリガリ君は尋問をうけ顔にひどい傷をつけられるほど痛め付けられるのですが隠し通し、手下を追い返しました。よく頑張った。
いや、よく頑張った。とは思ったものの、ヒーローとしてこれでいいのか?という疑問は残ります。そもそもの隠れ家選びが間違っていたのでは?と。。。
また、なんの罪もない妻子や親戚一同まであっさり殺されるあたり、被害者が多すぎましたね。だからこそパニッシャーになれたのですが。。。
引用:U-NEXT
パニッシャーの不安定さ
パニッシャーがアパートにやって来たロシアの大男と戦うシーンは映画『アウトレイジ』のように何故か真剣だけど笑ってしまう様なバトルが描かれていました。
手榴弾を相手に投げたら棒で打ち返されて、バスタブに慌てて逃げ込んだところで爆発しドリフみたいになったり、隣の部屋では知り合った住人の三人がパーティー中で音楽を聴いてたのでその爆発にも気づいてない陽気なシーンが差し込まれたり。
物語が暗く重くなるのを調整するかのようにコミカルがところどころに配置されていました。
キャッスルは全てが終わった夜に部屋で一人、酒を飲んだくれ、銃で自殺しようとします。結局死ぬことはなかったのですが、そこまで落ち込み、そこまで人間臭いダークヒーローもいなかったように思います。
それ程までに本当は暗いお話なのだと思いましたね。
ただ気になったのは、自殺を考えるほどの彼なのに殺し方は派手な時もあって例えばビルの上から札をばら蒔いたり、駐車場の他人の車を大量に爆破したり、二面性が半端ないです。
「平和を望むなら戦争の準備をしておけ。」こんな思想を持ちながら、これからも犯罪者たちを独自に取り締まって行くのでしょうが、彼自身が快楽殺人者のようになってしまう恐れも少しあるんでは?とは思いましたね。
最後に
なんだかんだ突っ込みながら面白おかしく観れました。
『パニッシャー』はコメディに振らなくても、とことんまで重く暗くてもそれはそれ良かったんじゃないかとも思いました。
冷静に考えたら、Tシャツのドクロは結構ダサいっすね。でも、冷静に観ちゃダメか。。。
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