映画『コントロール 』ネタバレ感想・解説!走馬灯に注目、レイ・リオッタとウィレム・デフォーの邂逅

サスペンス

今回は映画『コントロール』(2004)をご紹介します。

ある死刑囚が実験の為生かされ、科学者と不思議な友情を育んでいくという変わった物語。

レイ・リオッタウィレム・デフォーという組み合わせ。永遠の最高の脇役、どう見ても強面の二人による友情が描かれていました。

そこまで感動はしませんでしたが、飽きさせない展開と以外なラストでまあまあ楽しく見れました。それではレビューしていきます!

本記事は作品のネタバレになるような内容を含む解説・考察記事です。

作品を未鑑賞の方はお気をつけください。

映画『コントロール』の情報

監督
ティム・ハンター

脚本
トッド・スラヴキンダーレン・スウィマー

出演
レイ・リオッタウィレム・デフォーミシェル・ロドリゲス

原題
Control

2004年/105分/アメリカ

引用:amazon

映画『コントロール』のあらすじ

数々の凶悪犯罪を起こし、“怪物”と恐れられた男、リー・レイ(レイ・リオッタ)が死刑を執行される場面から物語は始まる。

致死注射によって処刑が終わったかと思いきや、数時間後、彼は死体保管庫で目を覚ます。

彼の前に現われたコープランド博士(ウィレム・デフォー)は、レイが被験者としてある実験に無期限で参加することを条件に、死刑を回避できると提案する。実験は、被験者の脳の性質を変化させ、激しい暴力性を抑える新薬「アナグレス」の効果を調べるもの。

仕方なく条件を飲むレイ。だが、凶悪犯である彼は、監視の隙を見つければ脱走を企て、その際に大勢の研究員・監視員を傷つけるのだった。

しかし、実験を開始した数日後、彼の心に変化が生じていく、罪の意識や自責の念が芽生え始めたのだ。

これを知った コープランド博士 は、実験を第二段階へと進めることにする。それはレイを社会に出し、一般市民と共に生活させるという危険なものだった。。。

映画『コントロール』の感想・解説

本作品はサイコ・メディカル・サスペンス(なんじゃそりゃ)というジャンルらしく、ジャケットからもうまくイメージが伝わって来なかったのですが、どっちかというとヒューマンドラマとして観たほうがいいかと思いました。

映画『グッド・フェローズ』で鮮烈な悪のイメージを残したレイ・リオッタと、『スパイダーマン3』の最高のヴィラン(悪役)を演じたウィレム・デフォーの悪者顔の組み合わせに惹かれました。

女性に見せる気ある?って感じのキャスティングに痺れますね。

引用:IMDb

映画『コントロール』最大の見所

主人公のレイ(レイ・リオッタ)は作中で二回死に、二回走馬灯を見るわけですが、この走馬灯が微妙に二回目は変化していて、ここが本作品の一番の見所だと思います。

生き様で人生を表すのではなく、走馬灯が変わったこと、死に様で主人公の人生を表したところに他の映画にはなかった特徴があったと思います。

ただ、走馬灯を書き換えるというアイディアが採用された時点で、彼がこのまま行き続けるラストは無くなったも同然で、それこそこの映画のモチーフにある、人の生き死にをコントロールする実験のようでなんとも言えない気持ちになりますね。

二回目の走馬灯の中では一回目にはいなかった暖かい心を持った登場人物が二人増え、彼を苦しめた、血が肩に降りかかる映像は消えていました。

無表情な死に顔に強い光が当たり、その書き換えられた走馬灯が彼を優しく包み込んでいたように思わせるラストシーンでした。

レイ・リオッタの好演

主人公レイの一回目に見た走馬灯で、彼の今までの生い立ちや、犯罪者になった理由が短く語られるのですが、一瞬で伝わることが出来て、スタッフの手腕を感じました。ここまで短くても伝わるのだと驚きましたね。

走馬灯の中で彼が殺した男の血が一滴、上からスローモーションで降ってきて、彼は避けることなくただ眺めていた。それが肩に落ちて、そこで人生の全てが終わってしまったことを語るでもなく伝わりました。力業ですが、この演出でもいいんだ、と目から鱗です。

主人公と同じような境遇でも、まっとうに生きてる人もいるんでしょうけど、見方を変えてみると、主人公が凶暴であればあるほど、新薬の正体を明かしたときのオチが効いてくるという、脚本の構造的な理由があるから多少はしょうがないのだと思います。

主人公は見た目も本当に怖くて、それぞれの指に一文字ずつSTAY AWAY(出ていけ)とタトゥーを掘っているような恐ろしい奴です。

それを演じるレイ・リオッタが最高の演技を見せてくれていました。アップだと直視しちゃいけないと思わせるほどの強面と本当に悪い人のオーラをまとっていて、本作をレイ・リオッタのベストアクトに入れてもいいかもしれません。

引用:IMDb

後半、徐々にいい奴になっていってるところも、本当にいい奴に見えてきて、真に迫ってました。

関係ないですが、本作品では脳を投薬によって変えられたレイ・リオッタの、他に出演した映画『ハンニバル』での思いっきり脳みそが出たまま食事してるシーンを思い出しました。レイ・リオッタは脳みそいじられがちですね。。。

ウィレム・デフォーとミシェル・ロドリゲス

彼ら二人は最高でした。二人の代表作と言ってもいいかと思います。

ウィレム・デフォーがいい人を演じたらここまで良くなるのかと驚きました。映画『ワイルド・スピード』シリーズでお馴染みのミシェル・ロドリゲスも好演していました。

正直どんな女優さんよりセクシーに見えましたね。

引用:IMDb

この二人がさりげなく出てくるラストの走馬灯がやはり見所だと思います。結局、テーマはこの二人が表してくれた「友情」なのだとも思わせてくれます。

監督のティム・ハンターとは

アメリカの監督のティム・ハンターは、調べてみたら80年代からTVシリーズに力を入れてる監督のようで、TVドラマ『ツインピークス』のいくつかのエピソードを監督しているようでした(日本版wikiより)。

ん? 『ツインピークス』 ?あれはデヴィッド・リンチが監督では???と思ったのですが、全部が全部リンチが監督した訳ではないようです。今回調べてわかったまさかの副産物でした。。。

ハンターは、あの、テレビドラマシリーズの最高峰とも呼ばれている『ブレイキングバッド』や他に『マッドメン』などのテレビ番組のいくつかのエピソードを監督したことでも知られているらしいです。

いくつかの、ってとこがミソですが、凄いじゃないですか!

残念なところ

監督がテレビシリーズという畑の人だからか、作家性は薄く、映像や脚本もどこか詰めが甘いようなところがありました。無粋なのもわかった上でいくつか突っ込んでみます。

あまり需要のなさそうな新薬の開発に、多額の研究開発費を投入しているところはリアリティーは薄いかと思いました。

被験者一人に24時間体制で何人もの監視を付けていて、それも被験者は少なくとも10人ぐらいはいそうだったし、試験の時間もいつ終わるかわからないなんて、この研究になん10億円かけるの?って感じでした。それこそスパイダーマンを産み出そうとしてるぐらいならわかるんだけど。

あとは、謎のハゲとの追いかけっこのしょぼいアクションシーン。彼を狙うロシアンマフィアだと気づいた頃には映画も終盤でした。。。

コープランド博士が新薬開発の責任者なのに、他の被験者の状況を知らされていないという設定も不自然でした。彼のような中間管理職も真実は知らされず、コントロールされる側にいる、という事なのでしょうか?

他には、コープランド博士が、元妻の開設した青少年の受け入れ施設を手伝っているという取って付けたようなハッピーエンド。子供たちと笑顔で卓球してましたが、あの取ってつけた感は一度見て欲しいぐらいですね。

そして最後に、安っぽいSF映画のようなジャケット。この作品の良さや雰囲気を1ミリも表してはくれていないです。自分は安っぽいSFを期待して見てみたので、良かったのですが。

引用:Yahoo!映画

ジャケットとコピーを変えるだけで絶対もっと愛される映画になるのに!

最後に

たまにはこういう作品も見たくなりますよね。ハイレベルな映画に疲れたら。同じモチーフでも映画『時計仕掛けのオレンジ』よりも気軽に見れました。

それでも、もう一度見たらまた新発見がありそうな映画ですし、なかなかの掘り出し物でしたね。

これを見て、レイ・リオッタウィレム・デフォーの出てる映画見たくなっちゃったから、見よ!

コメント

タイトルとURLをコピーしました